今年は8月にロンドンでオリンピックがあったので、急遽テレビデオ(14インチ)を液晶テレビ(22インチ)に買い替え、夜中に応援した。女子サッカーなでしこ(銀)、男子サッカー(3位決定戦で韓国に敗退)、女子卓球団体(福原・石川・平野)、男子体操総合優勝、男女水泳メドレーリレーなど、いっしょう懸命な姿に感激した。
また、政府が30年後の原子力0%、15%、20〜25%についてパブリックコメントを募集していたので、こういうのに、初めて意見を出した。100字以内ということで、一生懸命考えて、
「原子力は地震が多発する日本列島には適した技術ではないことが、福島の事故で証明されました。わが国は再生可能エネルギーの範囲内で生産・発展していく道を選ぶべきです。30年(以降)の原子力0%に賛成です。」
、と自分なりに納得の意見ができた。
再生エネルギーに関係する森林・林業に携わる者として、「原子力の代わりに木質バイオマスエネルギーを!」、と叫んでも叱られることはない、と思う。
前置きが長くなったが、今回は、春から夏にかけて周辺の山で見聞きした総集編。
■北秋田の山々
連休明けは精力的に北秋田の山々に行った。春先は暑くないし、アブやカもいない、木々が葉を広げる前の林床の花々、若葉の色など、山菜採りだけけでなく、山の楽しみはたくさんある。
「竜ヶ森」の尾根にはキクザキイチリンソウ、カタクリなど、残雪もあった。ふもとはブナなどが葉を広げ始めたばかりの淡い緑色とスギの濃い緑色のコントラストが美しい。「田代岳」は高層湿原にできた池(池塘・ちとう)で有名。7月の行事「半夏生」で、稲に見たたて豊作を占うミツガシワはまだ水の中。
どちらも人がおらず独り占めであった。
キクザキイチリンソウ スギ高齢林 田代岳の池塘
■初めてクマを見た!
7月8日(日)天気が良いので十和田湖に近い「白地山」を目ざした。樹海ラインの鉛山峠登山口駐車場にクルマを入れ、道路に目をやると「ん、クマだ」
50mくらい離れた道端で体長80cmほどの若クマが何か食べているようであった。向こう側には通行人がクルマから降りて見ていた。クルマに乗っているのでコワいという感覚はなかった。じきにクルマが近づく音がして、クマは登山道方面へ姿を消した。
で、白地山はキャンセルし、小坂で鹿角警察署に注意喚起のため通報、大館方向に戻って、「羽保屋山・はほや」に登ることにした。地元の方々が、お祭りの準備で暑い中、登山道の刈り払いをしており感謝。往復3時間ほどの手ごろな山であった。
樹海ラインでツキノワグマ 羽保屋山頂上
■見どころ、平滝の天スギ、五色の滝
北秋田の見どころ、穴場を2つ紹介。「平滝自然観察教育林の天スギ」と「五色の滝」
平滝は国道7号線・大館市岩瀬から北へ田代岳のふもとまで10km以上入った開拓集落の平滝にある。大館市の観光案内に紹介されているが、ほとんど人は訪れない。それでもここらで天然秋田スギの大木が見られる穴場である。
「五色滝」は、「山瀬ダム」から岩瀬川沿いに10kmほどで「糸滝」さらに8kmほど行ったところにある。道路際を50mほど降りると展望台があり、眼下に「五色滝」が、天気が良ければ虹も見える。さらに奥には「ロケット燃焼試験場」があるので、砂利道ではあるが整備されている。
平滝自然観察教育林 岩瀬川上流の「五色滝」
■天然秋田スギの伐採
北秋田地域には、昔からスギなどの森林資源が豊富で、江戸時代には藩の財政、明治以降国有林になってからも、経済成長を支えてきたが、計画的に生産できる資源が少なくなり、平成15年に東北森林管理局は、今後10年で天スギの生産を終了することを発表し、ことしがその最後の年となった。8月20日にNHK秋田放送局が最後の伐採作業を記録するすることになり取材に同行した。
場所は長木川の支流・大川目沢の源流部、青森県境に近い場所で、昭和40年代に天スギや広葉樹の天然林が伐採され、スギが植林された。スギの幼木を風害などから守るため、周囲の天然林が帯状に「保残帯」として残されたが、植林されたスギが約40年生でひとり立ちしたため、ここでは天スギ約20本、100m3を伐採することにしたもの。直径は1m、樹高は30m以上ある。
人工林のスギが今、40〜50年生になってバンバン成長しているが、100年を超える高齢スギは少ない。一部高齢人工林も利用しているが、曲げわっぱや桶樽などの伝統工芸や高級建築材として天スギの需要は根強く、"やはり天スギにはかなわない"との声も多い。
何で貴重な天スギを伐ってしまうのかと思われるかもしれないが、資源自体はあるが、スギの木が"老齢過熟"となり、腐れ、目まわり※など様々な欠点が出てきて利用価値が年々小さくなっており、また矢立峠風景林などの保護している箇所や急傾斜地などで、あっても伐れないというのが現状。
※目まわり...立ち木が強風でゆれることなどにより"年輪に沿ってできる割れ"のことで、目まわりのある丸太を製材するとバラバラになって使えない。
直径1m、樹高30mの天然スギ 伐採にとりかかる 倒れる NHKが取材
伐採したあとは、材質により、長さ4m、2mなどに切って市場に運んで売る。
グラップルで椪積み 年輪がつまった良材
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