(第48号・2014(平成26)年6月30日号)
  季節の便りをお届けします。

< 地 図 − 生き物リスト >

 40年ぶりに故郷に帰ってきた。なんともありがたい。思い起こせば、高校を卒業してから、1新潟→2札幌→3定山渓→4札幌→5鵡川→6札幌→7ヤンゴン→8千葉→9古丹別→10千葉→11長野→12下呂→13中之条→14十和田→15大館→そして高山と、よくもまあ16回も引越したものだ。
 3月まで秋田大館での単身生活のため自宅と職場が750km離れていたのが、4月から3kmと極端に近くなって、生活のギャップにも3ヶ月経って、ようやくこれが当たり前の生活と感じるようになった。
 で、今回は仕事の一面を紹介。

「一位一刀彫りの原木が足りない」
 一位一刀彫りは古くから飛騨の伝統工芸で、その名も位山(くらいやま)からイチイの原木が採れていたが、なにしろ天然木で、しかも200〜300年生の木だから、次第に資源がなくなり、もう何十年も前から北海道などに資源を求めている。
 しかし年々入荷が少なくなって、植林したものは最長でも80年生程度、新たに育成にも取り組んでいるが、やはり自然には勝てない。
 6月10日に古川町で一刀彫りの職人さんらによる原木の配材を見てきた。北海道、小坂町などの新材、小坂町の個人の倉庫にあったという1mmに何本も年輪がある古材、中国か韓国から輸入されたという製材などが転じされ、職人さんが吟味していた。

「白川村の治山工事は大変だ」
 6月11日、三方崩山の東側にある弓ヶ洞谷の治山現場に行ってきた。その名のとおり山が崩れて下流の国道156号が通れなくなるので谷止工事をしているが次から次と山の上から土石が落ちてくる。国道から現場まで標高差約400mを一気に資材運搬路を登る。スイッチバック(カーブが切れないのでバックして折り返す)まである。たいへんな現場だ。

「飛騨には清流が多くある」
 深い森からきれいな水が流れてくる。このごろ頻繁に集中豪雨で川が荒れるが、中には立派に豪雨を受け止めて、きれいな水が流れている沢があるとホッとする。ここは庄川の上流・高山市荘川町。

「間伐を行っています」
 6月16日、間伐の現場を見てきた。スギやヒノキの林は植林してから30年くらい経つと混んでくるので間伐を行う。丸太を運び出す道をつけ、急な斜面ではバックホーにウィンチがついたスイングヤーダという機械を使ってワイヤーで木を道まで引っ張る。近年、高性能の林業機械がだんだん普及してきて、山で働く人の安全や効率が高まっているが、山はその場所によって木や土地の条件が異なるので伐採・搬出の作業は危険で難しい。

「天生湿原のパトロール」
 6月20日、飛騨市と白川村の境にある天生湿原に初めて行ってきた。「天生・あもう」へは、国道360号線を飛騨市か白川村から入れるが、白川郷が世界遺産に登録され、東海北陸自動車道もあるので、白川村から天生峠に入る中高年の団体などが多い。360号線は昔から難所で雪崩や雨でしょっちゅう通行止めになる。
 本格的なハイキングシーズを前に関係者が危険箇所などのパトロールを行った。春の花が終わり端境期であったが、緑あふれる山を楽しむことができた。


(H26.7.1更新)