(第52号・2016(平成28)年12月31日号)
  季節の便りをお届けします。

< 地 図 − 生き物リスト >

 9月から日本森林林業振興会 名古屋支部に勤めることになった。おもに国有林の森林調査、林業・土木関連物資の販売、林業の普及などを行っている一般財団法人である。で、名古屋市熱田区白鳥(しろとり)での単身生活が始まった。
 ここらへんは、江戸時代から堀川を利用した木材業が盛んで、かつては林野庁の白鳥水中貯木場があったが、今でも旧名古屋営林局の建物、中部森林管理局名古屋事務所と熱田白鳥の歴史館、製材業者の事務所などが木材業が盛んだった頃の面影を残している。
 今回もまた久々の更新であるが、熱田神宮、定光寺自然休養林、福島復興応援ツアーの話。

「熱田神宮」
 アパートから歩いて10分ほどのところに「熱田神宮」があり、お昼の「宮きしめん」を兼ねて、ときどきお参りに行く。
 大きな鳥居をくぐって、鳥居の下で一礼。最近まで知らなかったが、鳥居からが神様の領域なので一礼し、参道の端を歩くのだと、カミさんに習った。注意して見ると、若い人でもちゃんと鳥居の前後で一礼している。
 手水の奥に、弘法大師お手植えで樹齢千年といわれる「熱田の大楠」がある。年賀状の写真にした。このほか、面積約19haあるという神苑には、ケヤキ、カシ、シイ、ムク、イチョウ、クロガネモチ等が多くあり、有名な木には、花が咲いても実のならない「ならずの梅」、茶人の愛好する「太郎庵椿」。また日本三大燈籠といわれる「佐久間燈籠」、日本三大土塀といわれる「信長塀」など、見どころがたくさんあるようなので、散歩がてら見物したい。

「定光寺自然休養林」
 名古屋の北東20kmに瀬戸国有林、定光寺自然休養林があり、振興会が「森林交流館」の管理を受託しており、10月22日、お手伝いで行ってきた。
 高蔵寺ニュータウンなど住宅地から近いところにこれだけ自然が豊富で、歩道が整備されており、散策にはうってつけの森があるのだが、国有林の予算事情が厳しいため、キャンプ場はこの3月で閉鎖、案内標識も老朽化し、自然観察会なども開催されているが、かつてのような利用は少なくなっている。
 全域で携帯が通じるので、GPSなどICT(情報通信技術:Information and Communication Technology)を利用した案内など、もっと利用してもらう工夫ができたらなと思う。
 人が少ないので、ナラの枯れ木の根元に「ヒラタケ」の大きな株があったので1枚いただき、得意の鶏ゴボウ丼に入れて食べたら、味のあるおいしさだった。



「福島復興応援ツアー」
 高山で障がい者の野外活動支援・交流などを行っている「NPO法人 野あそび倶楽部」の研修行事で、11月4日(金)〜6日(日)、福島復興応援ツアーに参加した。
 これは、9.11福島原発事故の復興を、福島に行って飲んだり食べたり土産を買い、福島の方々と交流しようという企画で、11月4日(金)夜20:00に高山出発、翌5日(土)、5:00福島「霊山(リョウゼン)」登山、南相馬の宿泊施設で地元の方々との交流。翌6日(日)の帰りは、地元の「道の駅」、福島原発の帰宅困難区域を走る国道6号線→常磐道→東北道→北関東道→上信越道→松本→20:00高山到着という強行スケジュールだったが、福島の現状と地元の方々の生の声を聴けて有意義なツアーであった。
 中でも、登校拒否(震災の影響もある)の子供たちを受け入れる活動をしておられる方のお話、故郷に帰れない人が大勢いること、また補償金のお陰で親が働かなくなり子供もグレてしまった家族もいるといった話、バスから田圃だったところが見渡す限り放射能汚染物を入れた黒いトンバックが広がっている光景、放射能があるため鉄くずが利用できず野積みになっていたり、帰宅困難区域では国道に面する道路や住宅にバリケードにが敷かれ、ガードマンが立ち、パトロールカーが警戒していたり、まさにゴーストタウンのようになっていた。
 世の中、2020年東京五輪やリニア新幹線建設で浮かれているが、何とか福島の復興につながるようなものであって欲しいし、これからも福島を忘れずできることがあれば協力していきたい。
 そして、原発は地震や火山の危険がある日本に適した技術ではない。自然エネルギーの範囲内で生きていかざるを得ない。ということを改めて感じた。



(H28.12.31更新)